SUMIBITO

風景に溶け込む家

カテゴリ : 波の音 2017.12.04

今仕事でグアムに来ている。グアムは日本の夏のように湿気が多く、蒸し蒸ししている。ハワイのようにカラッとした常夏を期待していたのだが、外での撮影仕事にはキツイ場所だ。

さて先日、仕事で那須まで車を走らせた。那須の自然に囲まれた場所に家を構えたお宅に取材に行って来たのだ。その家は山の麓の少し斜めになった広い敷地に、まるで昔からそこに存在していたかのように佇んでいた。紅葉し始めた秋の森の中に佇むその家は、決して主張しすぎず周りの自然に溶け込んでいた。きっと四季を通しても自然に溶け込んで風景の一部となっているような素敵なお宅だった。家の窓から外をみればただただ森が見えるだけなのだが、なんとも心癒される景色だった。毎日この風景で1日を過ごせるなんて、なんとも贅沢な生活だと思う。

風景の一部となるような家。最近の鎌倉は町の景観が大分変わって来たように思う。住宅地を歩いていても突如、周りの雰囲気からかけ離れたような家が現れたりしてビックリすることがある。もちろん建てる人の自由なのだが、なんとなく残念な気持ちになる。町の景観が美しければ、その土地に住む人々の心も癒されると思うのだが。服装にTPOがあるように生活の基本となる住にもTPOがあってもいいんじゃないだろうか。もちろん住む人の生活、理想にあった家を建てるのが一番だが、その土地での生活を突き詰めていけば自ずと家の雰囲気もその土地に溶け込んだものになってくるのではないだろうか。

そんな事を考えさせられる那須出張はとても心地よい時間だった。