SUMIBITO

シンプルを味わう

カテゴリ : お山生活 2016.08.05

最近、外食するよりも家で集まることが増えています。
というのは、料理好きが周りに多すぎるのかもしれないし、
そもそも、家好きが多いのかもしれない。
そしてそのみんなが、家で食べる食事こそが一番の贅沢だと
口を揃えて言う。

技拓のイベントでもよく一緒に組ませてもらっている、
SONNYシェフもその一人。
彼はスペイン生まれスペイン育ちの日本人。
イタリアやフランスでシェフの経験をして、
日本に初めて来たのが20年ほど前だそうだが、
生粋の日本人にはちょっと見えない。

先日、久しぶりに我が家に集まり、
今年の晩秋のイベントの打ち合わせだったのだが、
食材を持ち込んで、ささっと料理をし始めた。
彼はキッチンに立ちながら、
そして奥様と私は、ワイングラスを片手に打ち合わせをする間にも、
どんどんと料理が仕上がっていく。
この日のメニューは、こんな感じ。

稚鮎のアヒージョ2
ポルペッタ
イタリア野菜のカポナータ
雲丹とトマトのパスタ2
稚鮎のアヒージョ
パクチー入り鶏つくね(ポルペッタ)
イタリア野菜のカポナータ
雲丹とトマトのパスタ

料理に合わせた赤ワインと白ワイン。
そして焼きたてのパンを持参してくれて、
なんとも贅沢なミーティングになった。

彼がつくる料理は、素材の味そのものを大切にして、
調理法や味付けはいたってシンプル。
それなのに驚くほど脳が満足感を得るから、
イベントでも彼の料理は大人気。
何か特別な食材を使うわけでもなく、複雑な味付けでもなく、
作り方を聞けばいつもシンプルなのに、何故かみんなを笑顔にしてしまう。
どんな魔法がかかるのか、作り方をじっくり見ていても
やっぱりシンプルすぎてわからない。

理由が知りたくて、去年お料理談義のイベントを2回やってもらった。
「マヨネーズ談義」と「メキシカン談義」
お料理レクチャー
そのテーマに特化した話をしながら、ポイントを教えてもらい、
最後にホームパーティ気分で料理を楽しむ。

そこで見えてきたのが、手際の良さと食材選びのポイントと、
そして何よりも手を加えすぎないことで、
料理にも「余白」があると気づいた。
その余白部分に、素材そのものの甘みやうまみがうまく溶け込んでいく。
そんな風に思えてきた。

シンプルなのに、何故美味しい?ではなくて、
シンプルだからこそ、美味しいのだ。
彼の講義は、私も含めて参加者を楽しませ、家に帰ってすぐにお披露目が
出来、家で待つ家族をも満足させる。
その才能は、やっぱり素晴らしいなと思う。

彼の手料理を食べていると、シンプルであることの素晴らしさを五感で感じる。
そして、シンプルであるがゆえの奥深さもまた同時に知り、
いつもこのことを思い出させてくれるのです。
「からだは食べ物で出来ている」
そう、「食」という字は「人を良くする」と書く。
良い食事は、人を良くする。
だからこそ、こういう食事が必要だと、脳が喜んでいるのかもしれない。