SUMIBITO

食べかけへの愛、それから no.4

カテゴリ : 住む人日記 2019.05.12

日を置けば、深くなる。

長い長い休日が終わりました。
休み明けのこの一週間は溜まりに溜まった仕事が一気に押し寄せ、
あっという間に今日を迎えたような感覚です。

ふと家を見渡せば、あちこちにゴミや脱ぎっぱなしの洋服、取り込んだ洗濯物。毎日整理整頓ができれば良いのですが、平日はいつも目まぐるしく過ぎていくので、そうもいきません。その残骸を見て、げんなりするというよりは、私は「今週もよく頑張ったな・・・」と自分を少し褒めたくなります。

だからといって、そのまま放置すると収拾がつかなくなるので、土日はとにかく家の掃除、片付けをしています。この1日でまとめて全部綺麗にします。脱ぎっぱなしの洋服や、ほこりは時間を置いてもよくなることはありませんが、時間を置くことで、持っている能力以上を発揮するものもあります。


例えばそれはスープです。
「じっくりコトコト」は、スープの代名詞。
具材を細かく切り、それぞれの出汁が出るまでにじっくり煮込む。
吹きこぼれには気をつけて、途中、アクを取るのも忘れずに。
そうしてゆっくりゆっくり手塩にかけて育てたスープ。
深み、奥行き、旨味。びっくりするほど美味しくなる。

「別にじっくり煮込まなくても・・・」と、
以前、強火で短時間で作ったこともありますが、全くコクがなくて悲しくなったことも。やっぱりスープはじっくりコトコトが大切。

そして、ここからがスープの面白いところ。
翌日以降のスープの味は必ず変化するということです。
ゆっくりと煮込んだ後、いってみれば放置されていたスープ。
なんでこんな味に変化するの?と昨日の味とは一味も二味も変わり、
その変容に目をパチパチとしてしまいます。

何も手を加えずに、自然の力で生み出された味。
丸みとまろみ、甘み、深み。言葉では表現し尽くせない味。
想像以上のスープの出会いに嬉しくなりました。

時の経過が生んだ自然の味を楽しみに、今日もスープを作りたいと思います。少し気温が高くなってきた時期にこそ、温かいスープを。
スープはいろんなことを包み込んでくれ、美味しさに変えてくれる魔法のメニューです。

 

 

住む人編集部 N.H