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家が味わいに変わるとき

カテゴリ : お山生活 2019.03.16

引っ越しをして、5か月になろうとしている。
まだ、引っ越した当時のまま、開けられない段ボールもあるものの、
ようやく自分の家らしさを醸し出してきた。
動物もいるので、真っ新な壁にも傷や汚れがつく。
まだトイレの訓練が完ぺきではない愛犬が粗相をして、床に染みはつくし、
モノを落として傷をつけたり。
初めて床にシミがついた時は、正直ショックを受けた。
でもこうして、徐々に新品の箱が、生活と共に色がつき空気に馴染み、
私らしさへと変化、いや進化していくのだ。
ここでの時間が長くなればなるほど、私という生活史が刻まれていく。
シミや傷はやがて、味わいとなり歴史となる。
それらを、愛おしいと思える家になった時、
本当の意味で愛着が湧くのだと私は思う。

5か月経ってようやく、家に私らしさが漂い始め、
借り物的な雰囲気が薄らいでくると、
ここから初めて、育てる期間へと移行しだしたのだなと感じる。
家に「家主」と認定してもらったような気分だ。

風致の完了を受けるには、あと少し緑化率が足りず、申請通り
土の部分に、せっせとシロツメクサやタイムやレンゲの種を撒いた。
散歩道で見つけたツワブキの種も撒いてみた。

それが、春めいたこのところのお天気で、一気に芽吹きだす。
庭が高木の展示場のようだったが、徐々にオリジナル感がでてきた。
よしよし育っているんだね。
どんなふうに、変化していくのか。まだまだ分からない。
だって、風や鳥たちがいろいろな種を運んでくるのだから。
庭師さんや私の思うとおりにならなくたっていいのだ。
それが自然が織りなすハーモニー。
庭は、周りの自然環境と隣り合わせ。どんなドラマが待っているのか
足元を見ていると、如実に現れ、面白いのが雑草の世界。
どれを残して、どれを除くか。
最近では、足元を見るのが楽しみになって来た。

家も同じ。私の思うようにはならない。
動物たちがいろいろなことをしでかしてくれる。
思いもよらないことも、日々の中で起きる。
でも、そんな一つ一つが歴史として、我が家に刻まれていくのが、
一時のショックから、最近愛着へと変わり始めている。
素材も色が変化し、やがて味わいになる。

ああ、自分の家を持つって、借り物じゃないって、こういうことなんだよねって、
また新たな気持ちになって、ほっこりしている自分がいます。