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デザイナー深澤直人さんのアンビエントとモノのお話し

カテゴリ : お山生活 2016.10.23

先日、プロダクトデザイナーの深澤直人さんのトークイベントへ
行ってきました。
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深澤さんともお話ししてきましたが、彼のモノづくりは
「モノを作るとき、アンビエントに落とし込んだらどうなるのか。」
からデザインを考えるのだそうです。
アンビエントとは、環境を意味します。
そのモノの周囲とでもいいましょうか。
空間との調和や、引き算の美、余白の美しさなどから感じ取る、
雰囲気のいい調和のとれたデザインについて、論理的で素敵なお話でした。
これについては、次回詳しく書きたいと思っていますが、
日本人も、昔はその良さがわかる人が多かったはずなんです。
茶室のあつらえや、障子の使い方、床の間の飾りなど
すべてが、アンビエントを考えながらデザインされてたのでしょう。

「用の美」という言葉があります。
実用性の中の美しさと捉えていますが、
深澤さんのデザインも実用性がありながら、上質な
アンビエントを醸し出す力がある作品なんだと思います。
なので、彼のデザインしたものが好きなんでしょう。
初めて彼のデザインを手にしたのは、ケイタイの「錦鯉」でヒットした
au INFOBARだったかな? ±0の加湿器だったかな?
それ以来、ちょこちょこ意識せずに手にしていました。
それに改めて気づきました。

さて、今日は「お手入れ」のお話しでしたね。
実用性と美しさを併せ持つ鋳物で、日本の伝統的な工芸品
「南部鉄瓶」を、私はとても愛しています。
大事に手入れをしながら使えば、半永久的。
鉄分も取ることができるし、フォルムの美しさがまた絵になる。
そんなことを含めて、愛用しています。
なので、お手入れはきちんとします。

まず日々の中で大切なのが、お湯を沸かしたら
必ず残りのお湯を捨て、乾燥させること。
これは最低条件のお手入れ。
そうでないと錆びの原因になるわけですね。
それでも1年ほど使い続けていると、赤さびが出てきます。
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これをどうお手入れするのか。
実は、簡単なんです。
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市販の安い緑茶の葉をたっぷりと入れて、鍋で沸かしてください。
沸騰した鍋に、鉄瓶を入れて1時間火にかけ、
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8時間漬け置きすると、タンニンがでてきて、
コーティングしてくれるんだそうです。
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漬け置きした水は、真っ黒です。
そして洗ったらお手入れ終了。

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内側の赤錆はすっかり消えました。
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外側も、鉄本来のもつ黒が復活です。

使い込まれながらも綺麗になった鉄瓶が、キッチンという空間で
どう上質なアンビエントを醸し出してくれるかは、
今度は住まう人がどう活かしていくかですね。
そんなことを考えながら、深澤さんの話しを聞いていたのでした。