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冊子編集に思う

カテゴリ : 住む人日記 2016.11.04

10月は、撮影もほどほどに『住む人』の発行に向けた作業をしていました。もう気がつけば11月です。
取材に向けてラフを書いたり、すでに編集作業に取り掛かっているページでは原稿を書いたり、紙選びに印刷にに関する打ち合もしつつ、家や暮らしのことを考えていると時間はどんどんと過ぎていきます。
思い返せば、10月で私がGITAKUの施主さんを撮影するようになって3年。考えるべきことも増えました。
そこですこし、この冊子が生まれるに至った(まだ生まれていないけど)経緯を振り返ろうと思います。

GITAKUの家は「100年住み続ける」をテーマに、日々の積み重ねのなかで住みながら育てるものと考えています。
だから家が建っても、完成はしていない。あるいは、ずっと完成しないと言っても言いのかもしれません。
人が死ぬまで成長し続けるのと同じように、家もゆっくり長い年月を経て成長し続け、その味わいを深めていくのです。
積み重ねの大切さは、生きること、暮らすこと、住むこと全てに共通することなのかもしれません。

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古いものは、その古さ故に愛されるのではなく、きっとそこにある年輪や滲んでみえる苦楽を見て愛おしく思うもの。
人はたった一つの体で長生きをします。年を重ねれば、若い頃の傍若無人な生活を改めたり病気や怪我の治療も欠かせません。でもその度に、人としてちょっと成長したり思い改まったりするものです。
家もまた同じように、住み続けるために手を加え、暮らしを考え続けることで成長し、長生きするのです。
そこにこそ、個性や、喜びが見えてくる。

これはもう既に言われ続けていることかも知れません。
決して真新しいことではないけれど、ライフスタイルをお金で買えるようになった昨今、意識的にならなければ、本当の意味で積み重ねるのも難しくなってきました。だから今、ちょっと頑固で丁寧な在り方をもう一度、考えてみたいと思うのです。
ハウスメーカーは家を建てることだけが仕事じゃない。それがこの冊子の始まりでした。

暮らしを考える人は、家を考える人。
家を考える人は、暮らしを考える人。

人生も家と暮らしも、長い旅です。
GITAKUもまだまだ旅の途中。大切なことを忘れずに、考えることを怠らないよう、この冊子を作ろうと思います。
家のこと、暮らしのこと、分け隔てなく取り上げます。

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発行は12月中旬予定。
部数に限りがありますが、ご縁ある方の手に渡りますように。

『住む人』編集人:原田 教正