プロセスを楽しみながら生きる
カテゴリ : 暮らす人 2016.06.25

コーヒー焙煎・販売 石居徹さん
陶芸家 石居洋子さん
インタビュー
INTRO
「分解大好き」と語る徹さんは元技術職のコーヒー屋さん。
自分で手づくりしている徹さん。1958年に製造されたビンテージロースターをメンテナンスし、少量直火焙煎で一杯づつ丁寧に淹れてくれるコーヒーは、忙しい日常を忘れさせてくれるほどに心をユルくしてくれる。
奥様で陶芸家の洋子さんと営む自宅兼スタジオにおじゃまして、
モノづくりのことなどお聞きしてきました。
インタビュー&テキスト
土井智波(技拓)
助手H
写真
原田教正
土井智波(技拓)

(石居邸の階段は鉄の部分が塗装されておらず、搬入されてきたときのまま、マテリアルの製造ナンバーなどがむき出しに。それを凝視する助手Hに向かって)
- 徹さん:
- 素晴らしい階段だよね。
- 洋子さん:
- 好きです。
- 土井:
- 石居さんの家はそういうところがいっぱいあるよ。
- 助手H:
- なんか、むき出しになってるだけで、外国人的センスを感じるっていうか。
石居さんは純日本人だと思うんですけれども(笑) - 徹さん:
- そうですか(笑)まぁまぁ座って座って。


(石居邸をキョロキョロしながら助手H)
- 助手H:
- こだわりがすごいですねぇ・・・
- 徹さん:
- ちょっとね・・・やり過ぎてね。なんというか・・・凝り過ぎ!(笑)
- 助手A:
- すごいなぁ・・・技拓さんで建てたのは何年くらい前なんですか?
- 徹さん:
- 2008年に竣工だったんですけど、2006年の12月中旬過ぎくらいにはじめて技拓さんにおじゃましました。何年もかけてどこで家を建てようかと思っていて。数えきれないくらい住宅展示場とかも見に行って。最終的に名の通ったメーカーで「ここにしよう」というところもあったんだけど、でも「こんな用途の決まった家に住んじゃっても、なかでどう過ごせばいいんだろ」(笑)という意見も家族からあって。
- 洋子さん:
- なんかね。綺麗に出来過ぎちゃってて。汚しちゃいけないんじゃないかっていう(笑)うち、汚しまくるからね(笑)
- 徹さん:
- そのメーカーの営業マンさんの話も筋が通ってるし。そこで決めようかと
思ってたんですけども、帰りの車のなかで「もう一件だけあるから、行ってみよう」と行ったのが技拓さんだったんです。それで白鳥和正さんと話しをさせてもらって、「M邸(技拓で施工した第一号の家)に行ってみたらいかがですか?」と言われてすぐにM邸を拝見したら「これだよ!!」って(笑) - 洋子さん:
- そのメーカーに決めなくてよかったって(笑)
- 徹さん:
- Mさんにも白鳥さんや技拓さんの話も聞いて。家も見せてもらって雰囲気がとても気に入ったし。うちって結構モノを作って、陶芸とかガンガンやってたから「この家ならなんでもできるんじゃないか」っていうことで家族の意見もまとまりまして(笑)
それで技拓さんにすることにしたんですよ。 - 助手H:
- 元々ここの土地に住んでたんですか?
- 徹さん:
- そうなんです。築40年近くになった家に住んでいて。自分でいろいろ改造もしちゃってたんですよ。ただでさえ地震が多いのに、結構やばいくらい改造しちゃってて(笑)
「強度のある家にしよう」って話になったんです(笑)。 - 助手H:
- 元々の家はどんな雰囲気だったんですか?
- 徹さん:
- 元々の家?気に入ってたよ。ボロだけど(笑)トタン屋根で。トタン屋根だけは気に入らなかったんだよね。住んでから「雨うるさくないか?」って話をしてたら、「あっこれトタン屋根だよ!」って気づいたんだけども(笑)
- 洋子さん:
- 陶芸やるところも和室だった。
- 助手H:
- 陶芸はいつ頃から始めたんですか?
- 洋子さん:
- 自分で窯を持って教室を始めたのは93年。その前の10年くらいは他の教室に行って習っていました。
- 徹さん:
- 今はQUER STUDIOという名前ですが、トタン屋根の時は「唐桃居」という名前で教室をやっていました。技拓さんの建物になってからは、名前が合わないということになって(笑)。
- 洋子さん:
- コナラの学名がQuercus serrataと言ってそのQuerから名付けました。
- 徹さん:
- 白鳥さんがですね、「コナラの木でも植わっているといいですよ」と言っていて。
白鳥さんの自宅に植わっていて、見に行ったら「いいじゃん」っていうことになって、自分の家にも植えたんです。 - 洋子さん:
- 素朴でよかったんだよね。
- 徹さん:
- Querってちなみにラテン語で「良質な」っていう意味なんですよね。


- 洋子さん:
- 主人がそろそろコーヒー屋をやりたいっていうタイミングだったから「唐桃居のコーヒー」っていうのも、どうなのかな??っていうのもあってQUER STUDIOになったんですけどね(笑)
- 助手H:
- 奥様はいつぐらいから陶芸に興味を持たれたのですか?
- 徹さん:
- 産まれた時からなんじゃないの?(笑)お父さんお母さんがアーティストなんだよね。
- 洋子さん:
- そんなことないよぉ。
- 土井:
- 今回の取材の趣旨なんですが、技拓の家を選ぶ方にモノづくりをしてらっしゃる方が多いのではないかということで。
- 洋子さん:
- そういえば何の取材か聞いていなかった(笑)でもモノづくりしてる人多いよね。
そういえば(笑) - 土井:
- (笑)それで、何でだろうということで。その根底にあるものはなんだろうかということをお聞きできたらと思って。
- 徹さん:
- なんか肌に合うんだよね。最初に家づくりを決めようと思ってた、名の通ったメーカーさんは、素材もとってもよかったし、とても惹かれたんだけど、なんか綺麗すぎたんだよね。なんか足らないんだよね。で、技拓さんだと何が違うのかって言うと、まず外観がユニークだっていうのがあるよね。木のシングルなんか絶対これだと思ったよね。シングルの幅にもすごいこだわっちゃってさ。作る喜びがあったよね。
あと、定年後に、のんびりゆっくり暮らしたいというのはあったけど、かと言って閉じこもってるのは嫌だなと思ってたんですよね。家内のお父さんが実家で絵画教室をやって、家が賑やかだったり、陶芸教室も以前の家からやっていたから、だから辿り着いたのが技拓の家だったんでしょうね。

- で、技拓さんと打ち合わせをするなかでも、話のビートがよく合いましたよね。話が楽しかったよね(笑)白鳥さんはご自身の美学をお持ちだよね。
40年くらい前に、最初にシングルの外壁の家を日本で建て始めたんだと思うけど、きっと北米の上の方に実際に見に行って影響を受けて、それを日本で建てようと思って実際に建てたいうのが素晴らしいよね。ただその家を売るのではなくて、実際に日本でそれを建てるまでにきっと、大変なことがいろいろとあったはず。そういう人だから、とても筋が通っているし、押し付けられることもないから。

- (奥様が入れてくれたコーヒーを飲んで)
- 助手H:
- あ~。美味しいこのコーヒー。すごいバランスですね。香りと甘みと後味が。
- 徹さん:
- シングルオリジンです。農園の単味です。南米のコロンビアです。
- 土井:
- QUER STUDIOはコロンビアって決めてるんですか?
- 徹さん:
- 南米はブラジルとコロンビアを使ってまして、中南米は三か国くらいあるけれど。
- 助手H:
- いつからコーヒーにハマったんですか?
- 徹さん:
- 外国にね、仕事で行き始めてから。海外出張したときにデュッセルドルフからケルンまで、車でライン川沿いに走っている途中で「ここが美味しいんだよ」って先輩に連れられて入ったカフェのコーヒーがホントに美味しくてね。その先輩は向こうに駐在していて、コーヒーが好きだったんだけれども。それでその先輩が日本に出張で来たときに、「このあいだコーヒー美味しいって言ってたから買ってきたよ」って直火式のエスプレッソのポットを持ってきてくれて。
- 土井:
- 豆ごと?
- 徹さん:
- 豆は持ってこなかったね(笑)ポットだけだった(笑)僕、道具大好きだったから、ありがたくもらって。そのあたりくらいからハマったのかな。25年くらい前の話。
- 土井:
- やっぱりドイツに行ったときの、そのことがきっかけでコーヒーが好きになったと。
- 徹さん:
- 美味しいコーヒーに目覚めたのはね。
- 助手H:
- ドイツはコーヒー先進国になるんですかね。
- 徹さん:
- そうですよ。ヨーロッパはオランダからはじまって結構しっかりしてる。
莫大な消費量としてはアメリカだけれども。 - 助手H:
- いろいろな国に行かれたんだと思いますけども、どこの国で飲んだコーヒーがいちばん美味しかったですか?
- 徹さん:
- うーん、やっぱり唯一無二なのはデュッセルドルフで飲んだコーヒーだね。
- 土井:
- 海外に行くと、モノづくりのものを自然と見ちゃうんですか?
- 徹さん:
- 見るね。面白いからね。さっき言った職場の先輩が、ヨーロッパの時計作りをしている有名なところに連れっててくれる話もあったんだけど、実現しなかった。それ行ってたらたぶん、時計屋の方にハマってたかもなぁ。
- 洋子さん:
- ね。好きそうだもんね。
- 土井:
- 中身の構造とかが好きなんですか?
- 徹さん:
- ああ。好きですね。あの~、やっぱ分解しちゃうのが好きなんですよね(笑)
元に戻せなくなっちゃうこともあるんだけど(笑) - 土井:
- 分解しちゃったものを、また別のものにしちゃうんじゃないですか?
- 徹さん:
- とかね(笑)昔みんなそうだよね。モノのない時代の人たちって。「これ何かに使えるかな」なんてもったいなくて捨てられなくてね。
- 助手H:
- 分解するのが好きなんですねぇ・・・
- 徹さん:
- もう、分解大好きね!子供の時から。
- 土井:
- 歯車とかネジに魅力を感じるんですか?
- 徹さん:
- ですね。きっとね。時計なんか分解するとさ、大きめの歯車とか出てくるでしょ。ああいうのを独楽みたいに回したりとかして喜んでたね。あとシャープペンシルのコイルとか。いつかどこかで使うんじゃないかって、捨てられない。そういえば、外壁のレッドシダーを縛ってた金属のベルトとか技拓さんからもらって、いろいろ作った(笑)鍋敷きの一部に使ったりとか。
- 土井:
- 通常はわたしたちからするとゴミなんですけれども(笑)大工さんが「それ捨てちゃダメだよ。後で石居さんが取りにくるから」って(笑)「これ欲しいの??」って(笑)
よくデッキ材が余ったのは「捨てないでね」って言われるけども、さすがにこれは・・・(笑) - 徹さん:
- そういえばここにも使われてるんだよそれって。

- 徹さん:
- 道具箱のなかのフック。
- 土井:
- 今ねカトラリーを作ってるんです。石居さん。

- 徹さん:
- この前、展示会でデビューしました。
- 洋子さん:
- あんまり上手くならない方が素敵よって。手づくり感があった方がいいよって。
- 徹さん:
- 廃材も廃材ではなくて、使えるなぁなんて。
- 土井:
- 石居さんにとってはゴミじゃないんですよね。
- 洋子さん:
- そうなの。こうしてゴミ屋敷ができていったら、どうしましょう(笑)
思い切って「捨てましょう」と言って捨てたものも、あとになってから「ああ!あの時のあれがあったら!」なんてこともよくあるのよね(笑)だから捨てられない。 - 助手H:
- すごい・・・プロですね。自分でなにもかも作るから、そこに置くものにもこだわりがあるんでしょうね。
- 徹さん:
- 今日ね。モノづくりの話ってお聞きしてたんで、実際どのくらいのものを自分で作ったんだろうって、メモ書きでピックアップしたらね。地下の「QUER COFFEE」っていう焙煎するコーナーを作ってるんだけど、21種類かな。リビングルームとかエクステリアとか陶芸のスタジオとか全部入れると、34種類。

- 土井:
- これから作ろうとしているものもあるんですか?
- 徹さん:
- あるよぉ。長年やってて未解決なのが、布団干し。ただの「物干し竿!」ってわけにはいかないので。やりたくないので(笑)こういう人が技拓さんの建物を気に入ってるんです(笑)
- 助手H:
- ホームページも自分で作ってるんですか?
- 徹さん:
- もちろんそうですよ。
- 助手H:
- トップページから下に行くと最近のことも一気に見れる。いいですよねあれ。凝ってなくて(笑)
- 徹さん:
- どうもありがとうございます。見ていただいて(笑)手づくり感アリアリで安心して見れるってやつ?(笑)
- 助手H:
- そうなんですよ。ああいうのでいいっすよねって思ったりもします(笑)
- 徹さん:
- うちが楽しむために作ってますから。
- 助手H:
- 「うちが楽しむために」っていちばん正しいホームページかもしれませんね。
- 徹さん:
- なんたってスローライフだからさ。会社行ってたときは、「何月何日までに、これをこの予算で、この人数でこのレベルやらなきゃとか、ギチギチで縛りがある状態で。
そんなことをやってるとすり減っちゃうよね。今は時の流れを楽しんで、プロセスを楽しんで」。 - 土井:
- 作ってる過程で改造が繰り返されることもあるんですか?
- 徹さん:
- あるある。チャフとり機なんかね。コーヒーの焙煎でいちばん最後に、生豆の燃えかすというか薄皮が出るんですが、ザルで、「ざっざっ」とやって「ふーふー」っと息を吹きかけてその薄皮(チャフ)をとるのは原始的で。で、自分でチャフをとる装置を造ろうと思って。試作6回やってダメで。「遠心分離タイプ」とか「パチンコ台タイプ」とか「吹き飛ばし型」とかさ(笑)あきらめずにやってなんとかなった。
- 助手H:
- すごいなぁ。
- 土井:
- 「よしこれでいいぞ」って造ったのちに、改造することもあるんですか?
- 徹さん:
- うんあるね。
- 土井:
- こういう改造をしたらさらにもっと使いやすいんじゃないかって。
- 徹さん:
- うん。わかっててもやんないけどね(笑)まぁいいやって。優先順位があるから。
- 助手H:
- 優先順位があるんですね(笑)。
- 徹さん:
- それなりにあるんですよ。優先順位がね(笑)家内からリクエストが多いから。
終わりがないからサグラダファミリアですよ(笑)
<このあと、石居さんの娘さんが作ったレコードを全員で聴いてから、地下のOUER COFFEEへ移動。>
- 助手H:
- あ~、なんかいい香り。
- 洋子さん:
- なんか音楽かける?
- 徹さん:
- ああ、お願いします。
- 洋子さん:
- 何かけようかね?
- 徹さん:
- ああ、あんなにいいの聴いちゃったからね(笑)
<地下のQUER COFFEEさんをぐるりと見まわしながら>
- 助手H:
- すごいなぁ・・・なんでも造ってますねぇ・・・
- 徹さん:
- さっき言ってたチャフとり装置ってこれです。
温度計も自分で造って。温度センサーだけ秋葉原で買ってきて。
この集光装置で、中の豆を照らして、豆の色の変化をしっかり読んで、煙をよく見ながら、温度も測りつつ、なおかつタイマーもセットして(笑)で、それを再現しなくちゃいけないから、データをとっていて。

- 助手H:
- 味を同じにしなくちゃいけないから?
- 徹さん:
- そうなんです。「この前と同じように焙煎してください」と言われるのが嬉しくて。
- 助手H:
- すごいなぁ(笑)
- 徹さん:
- これ、ほんとにいい焙煎機で。これね、1958年に造られたんですよ。僕よりちょっと若いくらいなんだけども、使い込まれていて。鋳鉄で造ってるから、とても美味しくできるのかな。豆がいいのがいちばんなんですけどね。豆は200種類くらい市場にあるんですけれども。そのなかでこれだというものを品質チェックして。うちが好きな味だけを使っています。
うちが気に入ったので、お客様に美味しくないって言われたら、それはしょうがない。
それは今までないけど、一応は(笑)大体この店入って来づらいでしょ。秘密基地っていうかさ(笑)靴も脱がなきゃ入れないしさ(笑) - 土井:
- あっ、なんか自転車でお見えになった方がいらっしゃいますよ。
- 徹さん:
- あっほんと?あっお客様だ。
- 助手H:
- あっすごい。すごいっていうか、お店ですもんね、ここ(笑)
- 徹さん:
- しばらくお店にしちゃうけど。
- 助手H:
- はい。
- 徹さん:
- いらっしゃい!どうもありがとうございます、いつも。
<しばし、お店タイムに。お客様がコーヒーを楽しんで帰られたあと、話は洋子さんの陶芸へ>
- 助手H:
- 陶芸、詳しくないんですが、デザインはどう決めてくのでしょうか。
- 洋子さん:
- デザイン?欲しいもの(笑)こんな色が出たから、じゃ、これでこういうもの作ろうかなっていう。最初から「これ作りたい」って思ってもなかなかその色は出せなかったりするよね。


- 助手H:
- 色はどうやって作るんですか?
- 洋子さん:
- 土や石等の原料を調合し、 色見テストを何度もして作ってます。
そして、この色と土を合わせたら、こういう色になるのかなっていうところから私は考えるかな。 - 助手H:
- 作り方ってまずどうやって作るんですか?
- 洋子さん:
- (笑)まず粘土で形作るでしょ。乾かしたら窯に入れて素焼きっていうのをやって。焼きあがったら、釉薬をかけて。色が決まる。土と釉薬、あと焼き方。
- 助手H:
- 土もいろいろあるんですか?
- 土井:
- ブレンドもできる?
- 洋子さん:
- できます。この形にしたいんだったら、この土でやろうっていうのはある。
- 助手H:
- だいたいイメージしてた色になるんですか?
- 洋子さん:
- いや、難しい。焼きあがって誰かが「これと一緒の欲しい」っていうんだけど、「いや、再現難しいんだけど」ってそんなかんじ。誤差で変わっちゃうんですよ。
- 土井:
- 成形してから素焼きに持っていくまで、どのくらいの時間が必要なんですか?
- 洋子さん:
- 季節によるけど、一週間から10日は乾燥させて、あとは割れないように。
乾燥させてるときがいちばん割れやすいから。素焼きしたら丈夫にはなるんだけど、まだ割れやすい。本焼きすれば、大丈夫。 - 土井:
- 最初の頃の作風と変わりました?
- 洋子さん:
- うん。最初の頃は和食に合うかんじ。この家になって作風が変わった(笑)
- 助手H:
- そうか、前はトタン屋根の家で作ってたんですもんね(笑)
- 洋子さん:
- そうなのよ。前は畳の上で作ってたから(笑)完全に和(笑)
- 土井:
- やっぱり作る環境でインスピレーションって変わるんだね。
- 洋子さん:
- かも。
<この後、QUER COFFEEに置いてある、徹さんがボストンのアンティークショップから運んできたという蓄音機でレコードを鑑賞しだす4人>
- 助手H:
- 技拓さんの家に住んでいて、今どうですか?
- 徹さん:
- やっぱり感謝だね。いちばん最初にね、デザインしてくれたレイアウト。
「お風呂いいですよ、東南だと」って言われて。「えっ?なんで東南に持ってちゃうの?」
って思ったんだけれど。東南っていったら主寝室を置くものかなと。「陽が当たって、朝陽を浴びて、昇っていって、西に落ちていく。その感覚で家を楽しめますよ」とデザインしてくれた古沢さんが言っていて。「そういうものなのかな」とその時は思ってました。「こんないいところにお風呂なんて信じられないな」なんていう気持ちもあったんだけど、やっぱり気持ちいいなぁ、このお風呂。とか月がとってもよく見えたり。あと「明るい部屋が欲しい」って最初にお願いしたんだけど、どこの部屋も明るいんだよね。もう明るすぎるくらいどこの部屋も明るいの(笑)だからすごく気持ちいいし、どこの部屋も無駄なく活用できてるからね。だから大成功だった。
——————– 取材後記 ——————–
企業戦士として長く、忙しく仕事をしてきた徹さん。やっと落ち着いてモノづくりに没頭できる住処を、日々楽しみながらアップデートしていってるのだなと、お話を聞きながらほっこりしました。
「手づくりが、人を安心させてくれる」。
クアスタジオのコーヒーのファンだという、取材の途中に訪れたお客さんのコーヒーを飲む表情を見て、そう感じたのでした。(助手H)
Channel Panasonic (外部リンク)
「たとえば、こんな暮らし」#1 珈琲薫る、手作りの暮らし