SUMIBITO

食べかけへの愛、それから no.6

カテゴリ : 住む人日記 2019.11.13

不完全なドキュメンタリー

今日は本来の食べかけの話に戻りたいと思います。
可愛い食べかけを見つけることができたとき、テンションが少しだけ上がります。
それは自分の食べかけでも他人の食べかけでも、そうです。
なぜなのかと自問自答した末、わかったのは、不完全なその姿に胸を打たれてしまうということでした。

料理人が腕を振るい、セッティングをし、整え、一番美味しい形に仕立て上げられた、最高傑作が、運ばれてきます。

その完璧な状態が私たち「食べ手」によって、一口、二口と食べられていく様はなんとも切なく、みるみる崩れていく姿に、心惹かれています。崩れ、崩された結果が「完食」。

少し虚しい気持ちになりながらも、お皿の上には何ものっていないその姿こそが、食べ手の最高傑作です。
食べ物(ご飯)というものを媒介して、作り手と食べ手のコミュニケーションが行なわれている、
途中の姿が「食べかけ」なのだと思います。
どこから食べて、どのような組み合わせで、食べるのか、食べられていくのか、
その様子はドキュメンタリーともいえるでしょう。

作り手と食べ手をつなぐ「ご飯」。
その過程が実に愛おしく、思わずシャッターを押してしまうのでした。

さて、住む人編集部も次号の準備にとりかかりました。
今年は企画を練りに練ったため、発行はおそらく来年春頃になりそうです。