SUMIBITO

街と建築の「へり」にあるもの

カテゴリ : お山生活 2018.07.23

こう暑いと、猫ですらバテている。
それでも2歳の猫は、まだ元気に出かけていくが、
6歳チームは、出てみてもすぐに所定の位置にもどる。

今日は、熊谷で国内最高気温を更新したそうだ。
内陸の暑さは尋常ではないだろう。しかもヒートアイランド現象が
追い打ちをかけて、息もできないようなあの張り付く暑さを体感すると、
「雑草でもいいから生えててくれ」と心底、思うほどだ。
そんなとき、いつも思う。
もっと緑が多かったら、もっと涼しくなるのではないかと。
街路樹の木陰がほしくても、この夏の時期に強剪定しているのを
よく見かける。
色々な意味で、街路樹の意味をなしていない、街並み。
なぜ、街路樹があるのか。それすらもう不思議に思えるときがある。

ネコと、朝や夕方に公園を一緒に散歩してやることが多い。
こうして緑が多いだけで、木陰の気持ちよさだけでなく、
視覚的にも涼む効果は絶大だ。
この写真を見て、「涼しそうだ、気持ちよさそうだ」と思わない人はいるのだろうか。

鎌倉山は特に、ほかの地域に比べて緑も多いせいもあるだろう、
海風の影響もあるだろうが、都内から打ち合わせに来た人々が、
「ここは涼しい」と口々にする。
都内より海のある湘南は、2℃ほど低いのも確かではあるけれど、
それは緑化率はもちろんのこと、心理的にも視覚的要素も大きいはずだ。
人は緑が多いと、やはりホッとするモノなのだと思う。

先日、とある街の30年間での街並みの変化を、写真で見せていただく機会があった。
私も、昔に比べてずいぶん変わったことは認識していたが、
写真で比べてみて、こうも町から緑が消えるものかと衝撃を受けた。
同じ角度から撮られた写真は、歴然とした差だった。
そこには、「趣き」とか「情緒」という表現はどこからも消えていた。
印象は「明るい街」。ただそれだけが存在していた。
この現在の写真だけを見たら、もうどの地域のものかさえ、
検討がつかない。
あの独特なムードが消えてしまっていることに、改めて愕然として、
30年の重みを感じた。
そして、この街の気温もすでに上昇しているのだというから、
やはり緑化率の変化は、環境にも影響することは確かなはずだ。
緑化は、街からみたとき、建築からみたとき、その場所にふさわしいものに
するためには、なくてはならないもの。
でも、それだけではみんなの心を動かせないのならば
この酷暑から考え始めてもいいかもしれない。

もちろん地球レベルで変化が起きているのだけれど、
この暑さが、これ以上ひどくなる前に、
みんなで自分の周りだけでも意識して、もう少し、もう少し、
緑のことをかんがえてみよう。
ひとりひとりの意識が、やがて大きな効果をもたらすかもしれない。
街並みと、そして地球上に生きる生きものの夏のために。