SUMIBITO

いつの時代も、変わらないこと。

カテゴリ : 住む人日記 2018.07.16

すっかりご無沙汰となってしまいました。
東京は連日の酷暑、大雨のことを思うと、夏の入道雲に見惚れてもいられない、なんとも悲しい気持ちになります。
みなさんは、お元気にされていますか。

私たち住む人編集部では今年の夏も、住む人の撮影と編集のシーズンがやってきました。
年に一度、とは言っても年明けから少しづつ企画を温めていたのですが、ゆっくりと形に近づけています。

先日、あるお施主さんを訪ねて、こんな言葉に出会いました。
「生活することと、住むこととは、似ているようで違います」と。
もしかすると、同じように感じている方もいれば、言われてみれば納得という方もいるかもれしません。そんな捻り気のない素直なこの言葉が、私にはとてもすんなりと、腑に落ちたのでした。

若くして結婚をされ、すぐにお子さんを授かり、新婚生活もままならずに毎日を必死で駆け抜けるように生きていた。「家も家具も食器も、なにもかも、すべては生活する為。住むこと暮らすことを考える余裕も無ければ、考えても手が届くような日々ではなかった」と振り返っていました。

時代はいま、当時よりも多様化が進み、様々なことが可視化され、夫婦が共通認識として良質な暮らしに憧れを抱くことができるようになりました。
とは言え、実際には経済的にも不安定だったり、余裕がなかったり、日々の生活で精一杯という人が、ほとんどなのではないかと考えています。
それはバブル期を除けば、今も昔も変わらないのかもしれません。

人生の先輩の体験談は、そんな折、なによりもの励みでした。「どんな時も住むことの楽しみだけは、思い描いていました。」とは、その施主さんの言葉。

悟り世代と言われる私たちは、家を建てることにも無関心。そう言われて久しいのですが、いい家に住みたいと夢をもったり、大変な時期を乗り越えた先にある明る暮らしを考えることも、この時代に生まれた私たちには必要なのかもしれません。

 

住む人編集部