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夏待つ梅雨

カテゴリ : 住む人日記 2018.06.14

各地をぐるりと回って、ちょうど東京に戻ったところで梅雨入になった。
暑いとも寒いとも言えない、べったりした風と雨。なんかい食べても食べ慣れないピータンみたいに、つい甘苦すっぱい顔をしてしまう。
それで無意識にラジオから流れる夏の音楽に聴き入り、横浜スタジアムで夏風を受けて飲むビールを思い浮かべたり、暑いと嘆くのに夏は待ち遠しいのだと感じるのである。

それでも、いつもより水気を含んだ柔らかい光が差し込む梅雨は特別だ。
写真を生業にしていると、この季節は憂鬱でしょうとよく聞かれるけれど、私はそうは思わない。操れない天気を心配するより、雨でもできることをすればいい。それに夏でも、降るときは降るのだから。
それは写真に限らず、日々も同じだと思っている。

例えば、真夏の暑い朝はアイスコーヒーが飲みたくなるけれど、梅雨のどんよりパッとしない朝にはアイスハーブティーにしてみたり、あまりルーティーンに拘らずにその日その時にに合ったことを見つけて、するように心掛けている。そうした考え方は、仕事でも暮らしでも、この5年で大きく変わったことだ。

もともと私は普通よりも神経質で拘りが強いので、思い通りにならないことが、ストレスになる性質。どうなるか分からないことに、悩んでしまうので、それでは日々が楽しくない。
だから雨も、湿気も、それなりに楽しんで、夏を待とうと思う。

 

住む人編集部 原田