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DNA – 受け継ぐもの –

カテゴリ : 波の音 2018.12.17

昔住んでいた実家の庭には、大きな「やぐら」が立っていた。2階建ての家より高かったのでおそらく5メートル近く、あるいはそれ以上の高さだったかもしれない。そのやぐらが立っていたのは僕が小学校高学年位までだったと思うが、高所が苦手な僕には全く登っていく事ができなかった。今考えると大層立派なやぐらだったと思う。父はハム(アマチュア無線)が好きで、無線アンテナを設置するために、自分でそのやぐらを立てたのだ。今の自分があれを作れるかと言ったらおそらく無理だろう。

父はなんでも自分で作ったり直してしまう人だ。エンジニアだったということもあるだろうが、壊れたビデオデッキなど家電や水没した携帯まで直したりしていた。テレビ台や勉強机なんてのもお手の物だ。とにかく器用なのと、エンジニア気質の精密な設計図で綺麗に何でも作り上げてしまう。最近ではご近所さんの家から壊れた家電が持ち込まれ直したりしているらしい。

父の根底には、物を大切に長く使いたいという強い思いがあるのだと思う。だから諦めずに何でも直してしまうのだ。先日も息子のおもちゃの音が鳴らなくなってしまったので、父のところに持って行ったら瞬く間に直してしまった。自分が息子のものを直せなくて情けないのだが、理数系ではなかった自分は簡単なDIYをやる事くらいが精一杯だ。

ただ、物作りするのは楽しく、作るならしっかりしたものを作りたいとは思っている。写真のサイドテーブルは数年前にふと思い立って作ってみたものだが、なかなか評判が良く新居でも利用している。自分で手をかけたものは愛着が湧いて大事にするし、素人だから込み入ったものを作ることはできない代わりに、シンプルで飽きのこない良いものができたりする。

新居になってから少しづつでもDIYをやっていると、「DNAをちゃんと受け継いでいるんじゃない?」と母は言ってくれる。自分の中で父の誇らしい所があると言うのはとてもいい事だと思う。自分も息子にそう思ってもらえるような事が少しでもあればとても嬉しい。

3歳の息子に、今年のクリスマスはサンタさんに何をお願いするのかと聞いてみたら、BOSH(電動工具の有名なメーカー)から出ている子供用のおもちゃ工具セットなんだそうだ。ちゃんとおもちゃの電動ドリルでネジを締めたりできるらしい。

しっかりDNAは受け継いだのかも。。