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家が馴染むまで、まず3年

カテゴリ : お山生活 2019.12.15


早いもので、家を建て引っ越してから1年ちょっとになる。
自分の希望のままに設計されているので、もちろん
住み心地も気に入っているし、使い勝手もいい。
立地も、条件としてはデメリットと思っていた部分も、住んでみると
あまり気にならなかったりして、気持ちもよい。
幸いにして、ご近所のお年寄りとも仲良くさせてもらっているし、
外を自由に出入りしていた猫たちも、室内猫にすっかり慣れて、
あまり外へ出たがらなくなった。

引っ越してくるときに、だいぶ物を処分してきたが、
まだ必要のないものもある。
実際には、使う予定だったけれど、家のムードに合わない家具もある。
仕事をしながらだと、なかなか小屋裏収納の整理も思うように進まない。
そのくせ、この家に馴染むようにしながらまた物も増えてもいたりと、
まだ成長過程の段階での家という感じだ。
自分の家でありながら、まだ完全に自分のものになっていない。
面白いもので、1年経ってもようやく馴染んできたかな?という程度だ。

家というものは、1年程度では
そうそうフィットするものでもないのかもしれない。
半年過ぎて、ようやく土地に慣れ、
新品な家は、まるでモデルハウスに住んでいるような、
お試し期間的要素がある。
年月とともに、動物たちがつけた傷や汚れ、
日々の暮らしの中でできた細かな傷。
そんなものが増えてきて、徐々にピカピカな空間が落ち着きだしていく。
この家にふさわしくないものは、自然淘汰されていく。

我が家はまだ、ダイニングテーブルが仮のまま過ごしているので、
余計しっくりこないところも確かにある。だからといって、
特別に嫌なわけでもないが、
もしかすると、空間に自分や自分のものたちが馴染まないのか、
自分に空間が馴染んでいないのか。
大きな家具はゆっくり考えながら決めていくべきだろう。

そのうちに「好き」が家の中に散りばめられ、
日々を共に過ごしていくうちに
自分と家が、少しずつイコールになっていく。
イコールにするには、そこで重ねた「時」が、重要となると知るだろう。
ようやくそう実感できるのには、たぶん3年は必要なんじゃないかと思う。
そこから徐々に、今度は味わいへと移行していく。
馴染むのにまず、3年。
人となりの生き様が出るのに10年、
40年も経てばヴィンテージへ。
半世紀以上経てば、もはやアンティークの域に入りだすだろう。

お客様の家を拝見しても、やはり10年目ごろから
住む人の人となりが見えてくるように感じている。
先日取材で出かけた家も、ご夫婦と家が同じ顔すらしているように見えた。
そんな姿を見ていると、ペットが飼い主に似てくるように、
やっぱり、家も育ちながら「らしさ」が備わってくる。
暮らしを楽しむ+家を育む=VLUE(価値)
この法則は、スペックでけでは語れない価値だと信じている。