SUMIBITO

わたしの小さなお家

カテゴリ : ちびスケ 2016.08.26

hamano

小さく住むということ

ハマノさんの家は、1LDKで、延床面積20坪弱。土地は、50坪とあるのですが、家は駐車スペースを除いてほぼセンターに配置して、家の前後に庭があります。
南側は「緑の庭」北側は「石の庭」と考え方を変えて楽しんでいます。

hamano 1

朝起きて…
出かけて帰ってきて…
一日の行動パターンで、行かない部屋や空間がないほどに目を配る事ができ、立ち止まり、変化に気づいている今。
特別な思いじゃなくて、身体がそう自然と動き出す。
そして、庭の草花や季節の変化にも気持ちを向けられているそうです。
北側のデッキで毎朝、朝日を浴びながらデッキで朝食をとります。
傍らには双眼鏡があり、時折やってくる野鳥を観察して幸せいっぱいになるのだそうです。「会話は人とだけじゃないのよね、ほらほら、来たわ。あの子は最初にフェンスに乗って様子をうかがうのよ」

hamano 2

東京に住んで居た時には、追われるように仕事をし、パソコンに向かいメールをチェックし、朝仕事に行く、時々友人と外で会う、家でごはんを食べないときもある、海外も飛び回っていた…の忙しい時間だったようです。
だから、今のこの家で過ごすこの時間は、私に気づきを与えてくれの。
「この小さなお家が大好きよ」と団扇をパタパタさせながら、お話しくださいます。
「自分の意志で空気管理ね。お客さんにも渡すのよ。はい、これでって(笑)」
南北に流れる風は木々を通って冷やされた風は、家に入り足元を撫でていきます。
それ以上必要なら、「これで、自分でどうぞ」という意味です(笑)。

hamano 3

そんな時間を過ごしていたら、とうとうハマノさんは60歳を過ぎて大学院に通い始めてしまいました。その思いっきりのよい行動ができたのは、この家が基点であり安定の場所で居てくれるから、アイデンティティにつながっているのよ。小さく住まう事で、物質的な豊かさに流されず思い止める事ができる。その代り、生まれる知的な部分や興味がまるで触角を伸ばすかのごとくに広がっていく。それは、帰るこの家があるからできる事、と。

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大学院に行きだして、最近思う事があるのだそうです。
最近までのお仕事は国際協力の現場に携わっていて、豊富な実務経験があります。
その経験値の知識を持って、最後の総まとめとして大学院に行くことに決めたそうです。
社会は様々な物事の規制を開放したことで、情報も思考も溢れ出して、枠から飛び出していってしまった。まるで液状化のような社会。何が良くて何が悪くが分からず、コントロールができないままドロドロと流れ出した先端で起きた失敗が、「自己責任」となってしまっている。先端で戻る道も見えないまま、叩かれ苦しむ人達がいる。いままではある程度の規制があったからその枠の中で、考えたり工夫ができていた。堅苦しい縛りは、自由度を失うけれどね。でも、今まであった頑丈な囲われた枠をいきなり外され「はい、自由にしていいよ」と言われどうしたら良いか、さ迷い始める。怖いわ、と。
だから、これからは、立ち止まる、見渡す、考えてから意思決定をする事が必要と思う。小さな家では、それが出来るのよ。
現在、国際社会学を学ばれているハマノさんは熱くお話しくださいました。

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