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10年を思い返すと

カテゴリ : 住む人日記 2018.10.13

私ごとですが、今年で写真と出会って10年が経ちます。
思い返すと恥ずかしいことだらけのたった10年ですが、私が写真を始めた頃と言えば、デジタル一眼レフがプロから愛好家にも一気に普及し始めたタイミングでした。とは言えフィルムで撮るカメラマンや写真家もまだまだいたし、私もその一人でした。
当時のデジタル一眼レフの画素数は1000万画素そこそこ(今は最高レベルでは1億万画素になり、iphoneのカメラが衝撃的な美しさになりました)カルチャー系の面白い雑誌もまだ休刊ギリギリ手前で残っていたし、世間では淡く滲んだ軽いトーンの写真が流行っていた記憶があります。まだInstagramもFacebookもなくて、あったのはyahooがアメリカ本土をベースに展開していたflickrというツール。いまほどの爆発的なものではありませんでした。SNSが生まれたのは、まだその後。

この10年を思い返せば、業界の土壌も世間の常識も、これまでとは比較にならないレベルで新しく更新されたのかもしれません。でも人間って不思議で、それが良くても悪くてもそれなりに対応して、まるで普通だったように生活できてしまう。(追い付けないと言っている先輩だって実は同じ)

だからこそふと思うのは、前を見つつも、たまに振り返ることの大切さ。今と昔をたまには比較しないと、正しいこと、本当に必要なことの分別がつかなくなってしまう。人間が人間としてあり続けるには、進歩と同時に溢れる不必要を見極める必要がある。今はこれまで以上に、自分に必要なことを自分で選ぶことができる時代になったのだと感じます。

住む人の第3号、発売まであと一月半。そんなことを考えながら編集しています。人生って窮屈なのか豊かなのか、晴れ晴れしたことばかりではないけど、だからこそ幸せを強烈に感じることもできる。夏があるから冬も嬉しい(その逆も然り)のでしょう。

みなさんの積み重ねの、ヒントになることを願っています。
私も11年目に向けて、初心に返って頑張っていきたいと思います。

 

写真は8年前の二子玉川の風景