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大雪は4年ぶり

カテゴリ : 住む人日記 2018.01.23

関東地方は4年ぶりの大雪。
昼前に降り出したそれは、次第に大きな粒から小さな粒へと姿を変えて、みるみる積もっていった。
雪は東京のありふれた街並みを、魔法のように一変させてくれる。
そんなことを思いながら、頃早期帰宅のラッシュを横目に私は都心にある撮影現場に向かった。

たった15cmの大雪は袈裟なのだが、毛細血管のように張り巡らされた道路や鉄道網をとんでもない数の人が行き交い、そこに雪に対処するノウハウが無いのだから、致し方ないとも言える。
都会に住むと言うことは、あらゆる必需品をスマートフォンに詰め込み手ぶらで街を歩ける便利さと共通するところがあって、
引き換えに、一つの小さなトラブルをきっかけに大いに混乱したり、全てを喪失したりするのだ。

ありとあらゆる便利は、物事の集約化によって確立されようとしている。それは結果として、社会と人が無意識に一つの何かに依存する体質を生んでいる。それが進歩なのか、後退なのか、数十年後には答えが出ているだろうか。

人を豊かに変えようと競って発展を遂げてきた科学・技術が今を作っている。だがおそらくそれは、これ以上に発達する必要はさして無いほどのレベルにまで到達しようとしている。
創造が剥奪を生まないよう、思慮深くあることも、大切なのかもしれない。

そんな難しいことを考えたのも、きっと雪が降ったからだろう。
天気予報士曰く、今年はあと何回か大雪が降るかもしれないそうだ。

 

住む人編集部