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秋と台風

カテゴリ : 住む人日記 2017.10.31

台風去りて、秋深まる。
夏の忙しさも季節の静まりと歩調を合わせるように、ひと段落した。時間を見つけては外に出て、ゆっくり歩くようにしている。ふと宇宙は収縮と膨張を交互に繰り返していると昔読んだ本には書いてあったことを思い出した。季節の変化もこの摂理と似ている。

暖かい空気は、草花を開かせ、人の感情も開放的で柔らかなものにしていく。茹だる暑さは鬱陶しいが、氷がと溶けて水になる様は見ていて悪い気はしない。冷たい空気は、一瞬だけ草木を色付かせると葉を落とし、人は研ぎ澄まされた感覚を覚えるようになる。底冷えは体に堪えるが、張り詰めた空気は心地よいものだ。

そのことに気が付いてからは、どの季節も等しく美しいと感じるようになった。季節はこれから、徐々に収縮に向かってゆく。

良い秋と冬がやってくることを願って。

 

住む人編集部