SUMIBITO

シマノハナ

カテゴリ : 住む人日記 2017.07.10

 

一昨年の夏、八丈島に行ったことを、もうじき2年ぶりに発行されるMatou magazineという小さなフリーペーパーに書いた。
この冊子は、私が大学時代の仲間とコツコツと作っているもので、「服を纏う」から着想を得てその名前をつけている。まさに知る人ぞ知る、不定期のある種ゲリラ的な冊子だ。数年前からのリトルプレスやZINEブームは下火になってきたが、商業ベースには乗らないことを伝えたいと思い、
5人のスタッフが自費で作っている。それで今回は、風を纏うように、一人旅をすることについて編んでいる。

伊豆諸島の南端に浮かぶ人口7400人程の島が、八丈島だ。沖縄よりも青い海と、溶岩に覆われた殺伐とした風景はハワイ島を思わせる。
真っ青な空と真っ黒な溶岩のコントラストは強烈で、黒潮で荒れ狂う海はどこか恐ろしく、激しい風雨の後に掛る虹が美しい島だった。
盆になると、それまでの静寂が嘘のように島は華やいだ。家紋の入った提灯を担いだ人々が道路を歩き、墓地ではお菓子屋お酒を楽しむ家族の風景あった。
そして皆、日が暮れると踊り歌いあっと言う間に夜は更けていった。水平線から登り、頭の上を真っ逆さまに落ちる無数の星は自分がこの世でいかに小さな存在かを教えてくる光景だ。

それから僕は、何度かこの島に通うようになり、今年も住む人の編集をしつつ、どうにか島に行こうかと考えている次第。旅から戻っても自分の日常も、自分という人間も変わることはないけれど、考え方や感じ方は変わる。僕はそのために、これからも旅を続けようと思っている。

続きは、小誌のページをめくっていただけると嬉しいのだが、皆さんもたまには、一人旅をしてはどうだろうか。ちなみに、8月から1ヶ月間、西永福のJalk Coffeeさにお誘い頂き、八丈島での日々を写した「シマノハナ」の展示もありますので、
お近くの方がいましたら、是非。
住む人編集部 原田