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始末のよい手ぬぐい(後編)

カテゴリ : 住む人日記 2017.02.05

今、手ぬぐいを日用使いしている人は、どれくらいいるのでしょうか。その数をここで答えることはできないものの、タオルと比べてしまえば少ないことでしょう。けれども、手触りが良く吸水性に優れたこの一枚の布は、今も昔も変わらない魅力を持った一つの文化といえます。後編は、手ぬぐいが私たちに教えてくれることについて、考えました。


〜拭って、覆って、思いを包む布〜

手ぬぐいという文化は、遡ること奈良時代にまで至る。当時は綿や麻といった貴重な材料を用いて神事に関わるものに用意られたが、平安時代には「たのごひ」(た=手 のごひ=拭う)と呼ばれるようになり「拭う、覆う、包む」といった現在のあり方が確立されていった。千年の時を超えても変わらない使い方は、手ぬぐいが日常に欠かせない動作と密接な関係であることを表している。

戸田屋商店では、日々の使い心地を考え30番手特岡という高級生地を使い、柔らかな肌触りと吸水性をより高めた一本を製品にしている。たった一枚の布は、様々なか形に変身しながら最後まで役目を担う。丁寧に考え作るのは、皿や体を拭うなどの日常的な場面ではもちろん、贈り物を包んだり少し特別な場面や、受け取った人が感じる喜びや使いこ心地にまで思いを馳せているからだ。


手ぬぐいは、知恵を点る道具だ。
暑い夏の日、冷たいペットボトルから滴る水滴を見ると、カバンにいれることを躊躇する。そんなとき、手ぬぐいでホルダーを作れば気にせず持ち歩ける。知人友人の家に遊びに行く際、お土産のお酒を手ぬぐいで包んで渡すこともできる。紙幣のサイズに織って財布にしたり、災害時にはマスクや止血用に使うこともできるのだ。
知恵と工夫があれば、時代にを問わず使い続けられる。

手ぬぐいは、どんな始まり方で、どんな終わり方をしても、心地よく、始末良く。
皆さんも、試してみては。