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本物に触れる

カテゴリ : お山生活 2016.09.04

建築の仕事をしていると、いろいろなラグや絨毯に関心が湧きます。
ペルシャ絨毯、キリム、ギャッペ、緞通などなど。
12647441_1006953312702568_894606557155153164_n※ペルシャ絨毯

蟹唐草※鍋島緞通

もともと織物が好きなうえに、文様にも興味が湧き、ここしばらくは
大変興味深く拝見させていただいてます。
10306753_960591117338788_104557763404097947_n※キリム

12920357_1049086151822617_7689882192211653711_n※ギャッペ

14182609_1074627949279902_531092448_n※muni クラシカルチャイニーズラグ
子どもが小さなうちや動物を飼っているからと、ファストブランド系の
ラグや家具を使い捨てのように買う時期が、どなたにでもあると思います。
それはそれでいいと思っています。
ヨーロッパでも、安価な家具「ファストファニチャー」は、
「エントリー家具」と言って、初心者向け家具と呼ばれているのだそうで、
人生のエントリーに持つ家具、自立、結婚など最初に持つ家具ですね。
そういった時期を経て、徐々に本物を見て審美眼を養っていきながら、
自分の趣味も落ち着くころ、生涯にわたって愛せるものを手に入れていく。
これは、とても大切なことのように思っています。

というのは近年、私もとても危機感を持っていますが、衣食住のすべての
サイクルが短くなっていることです。
先日読んでいた本にも、同じことが書かれていて、非常に共感しました。
本では「ヒトとモノの接点の希薄さ」を問題視していました。
そこへ流行ということも重なり、また内装に関しては店舗的サイクル感覚で
家を捉えていく傾向も強くなっています。

確かに、いいものは高い。
でも安いもののサイクルを短く入れ替えることで、イニシャルコストは
最終的にどのくらいの開きがあるのかな?と考えるようになりました。
そして、愛着度。
モノを大事にする心が養われていかない。
これは、大きな問題。
資源は限りがあります。
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木材に至っては、木の成長を超えては製品は作れないということ。
羊毛も、今ラム肉の需要が世界的に増えているということで、
生産側が食肉用に切り替えていくところが多いとか。

心を豊かにするには、やはりモノへの愛着も大切なこと。
それには、長く使える飽きのこないモノの良さ。
高いか安いかということではなく、自分の生活をどんなものにしたいのか。
今より先を見据えて、どんな暮らしをしたいのか。

そんなことを、ちょっと意識することだけでもいいのかもしれません。