本物に触れる
カテゴリ : お山生活 2016.09.04
建築の仕事をしていると、いろいろなラグや絨毯に関心が湧きます。
ペルシャ絨毯、キリム、ギャッペ、緞通などなど。
※ペルシャ絨毯
※鍋島緞通
もともと織物が好きなうえに、文様にも興味が湧き、ここしばらくは
大変興味深く拝見させていただいてます。
※キリム
※ギャッペ
※muni クラシカルチャイニーズラグ
子どもが小さなうちや動物を飼っているからと、ファストブランド系の
ラグや家具を使い捨てのように買う時期が、どなたにでもあると思います。
それはそれでいいと思っています。
ヨーロッパでも、安価な家具「ファストファニチャー」は、
「エントリー家具」と言って、初心者向け家具と呼ばれているのだそうで、
人生のエントリーに持つ家具、自立、結婚など最初に持つ家具ですね。
そういった時期を経て、徐々に本物を見て審美眼を養っていきながら、
自分の趣味も落ち着くころ、生涯にわたって愛せるものを手に入れていく。
これは、とても大切なことのように思っています。
というのは近年、私もとても危機感を持っていますが、衣食住のすべての
サイクルが短くなっていることです。
先日読んでいた本にも、同じことが書かれていて、非常に共感しました。
本では「ヒトとモノの接点の希薄さ」を問題視していました。
そこへ流行ということも重なり、また内装に関しては店舗的サイクル感覚で
家を捉えていく傾向も強くなっています。
確かに、いいものは高い。
でも安いもののサイクルを短く入れ替えることで、イニシャルコストは
最終的にどのくらいの開きがあるのかな?と考えるようになりました。
そして、愛着度。
モノを大事にする心が養われていかない。
これは、大きな問題。
資源は限りがあります。
木材に至っては、木の成長を超えては製品は作れないということ。
羊毛も、今ラム肉の需要が世界的に増えているということで、
生産側が食肉用に切り替えていくところが多いとか。
心を豊かにするには、やはりモノへの愛着も大切なこと。
それには、長く使える飽きのこないモノの良さ。
高いか安いかということではなく、自分の生活をどんなものにしたいのか。
今より先を見据えて、どんな暮らしをしたいのか。
そんなことを、ちょっと意識することだけでもいいのかもしれません。