SUMIBITO

価値と、値段。

カテゴリ : 住む人日記 2017.04.30

先日、ずっと探していた本を買いました。
京阪神エルマガジン社から2012年に刊行された本で、その名も「京都の中華」(著:姜尚美)です。
わざわざ京都の中華を題材に、グルメというより人と食を取り上げる一種のドキュメンタリーのような本で、本好きの間では評判でした。
ただ、様々な都合で再版されず、判型の大きな単行版はもはや新刊で入手するのは困難。つい先日、やっと幻冬社から文庫版として再発売になったのです。

でも私はやっぱり、資料として写真もデザインも見たいので、単行版が欲しい。けれど古書店を探し続けるも、なかなか出会えず。
とうとう、私の中では禁じ手と言っていい(本は書店で買う主義)Amazonで定価の倍以上で発見し、この度、購入したわけです。

ちなみに製作は、雑誌Ku:nelでご存知の方もいるかもしれませんが、有山達也さんがアートディレクションを、撮影は斎藤圭吾さんが。
とても緻密なデザインと、それに通じる静かだけど生命力を感じる写真が魅力です。(同じ著者・スタッフで『あんこの本』というのも刊行されていて、こちらもオススメ。)この本はまさに、好きな人にはたまらない一冊なのです。

手に入れてふと思うのは、物の価値と値段の関係は、本来は手に取る人によって異なるということ。
そういう意味で、中古品を探して買うことは、とても有意義なことかもしれません。
安いから古着・古本・古道具を買っていたのが、自分の定規で価値と値段を測って買うようになると、それは買い物というより考えるという行為に似ている。若い頃から、そういう買い物をしていると、目利きになっていくのかもしれません。

すると、何が自分にとって必要なのか、他との比較とは異なる視点で選ぶことができるようになる。それは、家を建てる時にも役立つし、日常生活においてどのようなスタイルで過ごしていくかを考える際にも、通じるものがあるかもしれない。

そんなことを、ふと思ったのでした。